●8月6日、テニアン基地を飛び立ったB29「エノラゲイ号」は午前8時15分、高度9,600メートルから広島に原爆第1号による奇襲攻撃を行い、初めて人類の頭上に核爆弾が投下されました。原爆は、市の中心部、現在の広島原爆ドーム前方の地上約500メートルで炸裂、瞬時に20数万人の市民を殺傷、全市を壊滅し尽くしました。

  

  エノラゲイ号                広島原爆ドーム』
   『ながさき原爆の記録』より    『ヒロシマ・ナガサキ原爆写真』より


ガレキの広島(大手町2丁目付近)
 『ヒロシマ・ナガサキ原爆写真』より



●8月8日には原爆第二号の投下命令が発せられ、「第一目標小倉、第二目標長崎」が指示されます。



●8月9日未明、第2弾を搭載したB29「ボックスカー号」はテニアン基地を発進、第一目標の小倉上空に到達しましたが、前日の空襲による焼煙が流れ命じられていた「目視攻撃」ができず、やむなくスウィニー機長は第二目標「長崎都市地域」へと機首を転じました。


●原爆搭載機は高度10,000メートルで長崎上空に侵入しますが、最初の照準点であった市街中心部の常盤橋付近は雲で確認できず、午前11時2分雲の切れ間に見えた2つの三菱兵器工場(茂里町工場および大橋工場)の中間にある競技トラックを目がけてビーハン爆撃手は自動爆撃装置を作動させました


   

 三菱長崎兵器製作所茂里町工場    三菱長崎兵器製作所大橋工場
   『原爆被爆記録写真集』より      『原爆被爆記録写真集』より

●当然、もし常盤橋付近に原爆が投下されていたら、ここは観光名所として有名な眼鏡橋に近く、市の人口密集地域でもあります。長崎の商業地域や官庁街等が全滅し、惨禍は市全域に拡大して、死傷者も倍加していたはずです。


●高度約9,000メートル上空から投下された原爆は、三菱兵器大橋兵器工場、三菱製鋼所、三菱造船所幸町工場、その他無数の中小工場や民家の密集する浦上の、松山上空約500メートルで炸裂、一瞬、閃光がすべてを覆いかくしました。その直後、轟音とともに赤い炎を点滅させながら、恐ろしい速度で上昇し広がる「悪魔の火球」の下で、市北半分が潰滅・炎上し、約15万人の市民が殺傷されました。